はじめに
私は、今まで職場も取引先もおじさんが95%という男性の業界で営業として3年間働いてきました。
その中で、「鬱になり休職」「パワハラ・セクハラによる異動」という状況に陥る女性を何人も身近で見てきました。
この記事では、私の実体験を交えつつ以下の内容をまとめたいと思います。
● 製造業における女性活躍の現状 ● 退職、休職に至る原因 ● パワハラやセクハラを防止するためにすべきこと
就活中の学生さんには職場選びの参考に、若手女性社員には“ここがおかしいかも”という気づきに、そして人事・ダイバーシティ推進担当の方には制度を超えた職場改善のヒントになれば嬉しいです。
製造業における女性活躍の現状
経済産業省の「モノづくり白書2024」によると、以下のような女性活躍に関する現状が明らかになっています。
-
製造業における女性の管理職比率は依然として低く、平均で7.8%(全産業平均の15.5%に比べても低水準)
-
女性の正社員比率は30%程度だが、特に技術系・生産部門では20%未満と顕著に少ない
-
離職理由として最も多いのは「キャリア形成が見えない」「ロールモデルがいない」「孤立感がある」などの職場環境要因がある
つまり制度が整っていても、現場の理解や文化が伴っていないことで「続かない職場」になってしまっているケースが多いというのが実情です。
また、製造業の中でも職種によってその活躍度合いが異なる現実が見られます。
男社会で女性が休職や退職に至る原因
私の身の回りでは、同期として入社した女性の約半分が入社1~2年で休職に至ってしまいました。
私自身は休職はしなかったものの、メンタルが限界になり、毎日涙を流していた時期がありました。
休職に至った女性に共通していたのは、「男性が圧倒的に多い職場」に配属されていたこと。
一方で、労務や事務職などの女性比率が高い部署では、休職した例は見られませんでした(あくまで個人的な経験によるものです)
なお、私はすべての責任が企業や職場環境にあるとは思っていません。
休職・退職の背景には、企業と個人の両方に要因があると感じています。
以下にそれぞれの視点で問題点を整理します。
企業側の視点
● 相談できる人がいない
:女性特有の悩みについて、同じ立場で相談に乗ってくれる人が周りにいない
● 昭和気質の文化がある
: 亭主関白的な価値観や、古い男性中心の働き方が根強く残っている
● 女性に対しての配慮が不足している
: 接待の際に、お客様の横にお酒の場で座らせる、お酒を注がせる など
個人側の視点
● 男性との接点が少なく、慣れていない
:過去に男性が多い場所で活動していた経験が少ない(女子大出身など)
● 被害者意識が強い
: 上司の建設的な言葉も、感情的に受け止めてしまい、必要以上に傷ついてしまうことがある
● ホルモンバランスによる心の不調
:生理などにより気分が落ち込みやすい時期がある
ケーススタディ
私の身の回りで実際にあった経験談を2つご紹介します
2次会で上司に連れられガールズバーへ
お客様の接待として、1泊2日のイベントを行ったときの体験談です。
初日の工程が終わり、旅館に1泊しました。参加者は女性1人と、男性の上司が1人、男性のお客様が2人の、合計で4名でした。
1次会でお客様にお酒を注ぐように勧められるなど、女性としての役割が求められました。
お酒を飲み、皆が気分が良くなった中で「男の文化を知っておくといいから」と、上司が率先してガールズバーへ連れ行き、お客様と共に2次会が開催されました。
そこでは歌を歌うことを強制され、歌っている動画を撮影されるなど、大変ストレスが強い経験であり、体調を崩すことになりました。
お酒の席で下ネタ、お酒の強要
お客様を含めた接待の場や、部署内で飲みにいった事例です。
飲み会の人数が多くなると、例えば10人の男性と1人の若い女性という場面にも遭遇します。
その際、女性がいることを忘れたように過度な下ネタを会話に混ぜたり、「〇〇さん、全然飲んでないじゃん」とお酒を強要するような発言が多々見られます。
さらに、酔いが回ってくると肩など体に触れてたりと、ヒートアップする場合があります。
このような場面に遭遇すると、「まるでガールズバーで働いているようだ」と感じてしまうことも少なくはありません。そして、小さなストレス・疲れの積み重ねによって精神面が辛くなり、休職に至る場合があります。
私が休職に至らなかった理由
私自身は、営業として社内に女性はおらず、相談できる人が少ない環境でした。
それでも休職に至らなかった理由としては以下の点があると考えています。
定期的な面談があった
会社の制度により、上司と話す機会、人事と話す機会がありました。
「話しやすく」「話をよく聞いてくれる方」であったため、素直に自分の気持ちを伝えることができました。また、メンター制度により年の近い先輩に相談する機会が得られる点も良かったと思います。
今後のキャリアを相談する機会があった
年に2回ほど、上司に自身のキャリアについて相談する機会がありました。
今後のキャリアについて相談する場があったことで自分自身のライフイベントに対してどう向き合うか考えることができ、将来の見通しが立てやすくなりました。
周囲に、声をかけてくれる女性事務の方がいた
営業と事務という立場の違いがあるものも、声をかけてくれたおかげで日頃から悩みを相談することができました。また、女性という視点から共感をしてくれるので話がしやすく、本当に助けられた部分が多かったです。
お客様に恵まれた
一部のお客様から、「頑張ってるね」「女性なのに本当にすごいと思うよ」「仕事が早くて助かってるよ」と肯定的なフィードバックを頂き、精神的にとても支えになりました。
自分自身の性格
私自身は、過去バリバリの体育会系の部活をしていました。また、理系であることから周りに男性がいる機会が少なくありませんでした。
そして何よりも影響が大きかったと思うのが、大学生で飲食店のアルバイトをしたときに、社員さんにおじさんが多く、おじさんとの会話に慣れていたことも大きいと思います。
おわりに
自分に合う職場を見つける為に
ここまで、私の実体験も交えながら、男性が多い社会の中でも女性が活躍できる場の特徴を上げてきました。
この記事は、製造業など男性が多い業種を目指す就活生、今現在男性社会で頑張っている女性、そして女性活躍をすすめたいと考えている企業の人事・ダイバーシティ担当の皆様に向けて書きました。
それぞれの立場に置いては、以下の点を留意いただければと思います。
● 就活生へ
:目指している「職種」に女性がいるかを確認しておきましょう。
自分自身のキャリアを事前に考えておきましょう。
● 若手女性へ
:違和感にふたをせず、信頼できる人に相談をしましょう。
本当につらくなったときは、周りの人を巻き込んで解決する必要があります。
● 人事担当者へ
:制度だけでなく、現場の空気感もアップデートしていく視点を持ちましょう。
現場に任せきりにせず積極的に関わり、相談しやすい場を設けましょう。
製造業をはじめ、男社会で働くすべての女性が、安心して長く働ける環境が当たり前になりますように。一緒に頑張れる仲間が増えるよう、心からそう願っています。